シンとレイナ
5年ぶりの再会 / 駅前のバー
シン(31) 出版社勤務。5年前にレイナと別れた。今はフリー。
レイナ(30) フリーランスのデザイナー。シンとは大学で付き合っていた。
レイナ(30) フリーランスのデザイナー。シンとは大学で付き合っていた。
渋谷の交差点で、偶然会った。
最初、気づかなかった。向こうから声をかけてきた。「シン?」
振り返る。レイナだった。髪が短くなっていた。
「久しぶり」と言った。5年ぶり。最後に会ったのは、別れた日だった。
「元気?」とレイナが聞く。
「まあまあ」とシンが答える。
沈黙。気まずい。でも、このまま別れるのもなんか変だった。
「時間ある?」とシンが聞いた。自分でも驚いた。
「少しなら」とレイナが答えた。
近くのバーに入った。カウンターで隣に座る。昔と同じ配置。
「5年か」とシンが言う。
「長いよね」とレイナが言う。
近況を話す。仕事のこと。住んでる場所。友達のこと。恋愛の話は、お互い避けた。
「あの時はごめん」とシンが言った。何に謝っているのか、自分でもよく分からなかった。
「私も」とレイナが言った。
それ以上は、言わなかった。言う必要もなかった。
1時間くらい飲んで、店を出た。「じゃあね」と手を振る。連絡先は交換しなかった。
シンは駅に向かって歩きながら思った。会えてよかった。でも、もう会うことはないだろう。
それでよかった。過去は過去だ。