マサトとチヒロ
バツイチ同士 / 和食屋
マサト(42) 会社経営。3年前に離婚。子供は元妻と暮らしている。
チヒロ(39) 会計士。5年前に離婚。子供はいない。
チヒロ(39) 会計士。5年前に離婚。子供はいない。
知人の紹介で会うことになった。お互いバツイチ。「気楽に会ってみたら」と言われた。
和食屋の個室。マサトが先に着いていた。チヒロが入ってくる。
「初めまして」とお互い言う。緊張している。でも、変に取り繕う必要はない歳になった。
料理を頼む。日本酒も少し。話し始める。
「紹介されて会うの、初めてで」とチヒロが言う。
「俺も」とマサトが答える。「離婚してから、あんまりこういうの積極的じゃなくて」
「分かります」とチヒロが頷く。「一度失敗すると、慎重になりますよね」
離婚の話になる。マサトは仕事ばかりで家庭を顧みなかった。チヒロは価値観の違いで。お互い、自分にも責任があると分かっている。
重い話のはずなのに、なぜか話しやすかった。お互い、同じ傷を持っているからかもしれない。
「次があるなら、同じ失敗はしたくないですね」とマサトが言う。
「そうですね」とチヒロが言う。
食事が終わる。店を出る。
「また会えますか?」とマサトが聞く。ストレートに。回りくどいことをする歳でもない。
チヒロは少し考えて、「はい」と答えた。
連絡先を交換する。「じゃあ、また」と別れる。
マサトはタクシーを拾いながら思った。焦る必要はない。ゆっくりでいい。今度こそ、ちゃんとやりたい。