リクとコトネ
図書館の常連 / 大学図書館
リク(20) 大学2年生。法学部。毎週水曜日に図書館で勉強する。
コトネ(20) 大学2年生。文学部。リクと同じ席で勉強することが多い。
コトネ(20) 大学2年生。文学部。リクと同じ席で勉強することが多い。
毎週水曜日、同じ時間に図書館に来る。窓際の席。そこに、いつも彼女がいる。
名前も学部も知らない。ただ、同じ時間に同じ場所で勉強している。それだけの関係。
でも、最近少し気になっていた。
今日も図書館に来た。いつもの席に向かう。彼女はもう座っていた。ちらっと目が合う。すぐにそらす。
隣の席に座る。いつもより少しだけ近い気がした。気のせいかもしれない。
勉強を始める。でも、集中できない。隣が気になる。
2時間が経つ。休憩しようと思って、自販機に向かった。図書館の入口にある自販機。コーヒーを買う。
振り返ると、彼女がいた。同じように休憩に来たらしい。
「あ」と声が出た。
「あ」と彼女も言った。
沈黙。気まずい。何か言わなきゃ。
「いつも、同じ時間ですよね」とリクが言った。
「水曜日が空いてて」と彼女が答えた。
「俺も」
また沈黙。でも、さっきより少しだけ楽。
「あの、名前……」とリクが聞こうとした。
「コトネ。文学部の」と彼女が先に答えた。
「リク。法学部」
「知ってる。テキストに書いてあった」
リクは少し恥ずかしくなった。「見てたんだ」
「たまたま」とコトネが小さく笑った。
それから、席に戻った。また隣に座って、勉強を続けた。
名前を知っただけ。それだけ。でも、来週の水曜日が少しだけ楽しみになった。