ショウとハルカ
毎朝の通勤電車 / 山手線
ショウ(26) ITエンジニア。毎朝7時32分の電車に乗る。
ハルカ(25) 不明。同じ車両、同じドアから乗ってくる人。
ハルカ(25) 不明。同じ車両、同じドアから乗ってくる人。
毎朝、同じ電車に乗る。7時32分発。3両目。前から2番目のドア。
そこに、毎朝見かける人がいる。
黒いコート。ショートヘア。イヤホンをしていることが多い。名前は知らない。
最初は気にしていなかった。でも、毎日見るうちに、なんか気になり始めた。
今日も同じドアから乗ってきた。目が合った。すぐにそらす。
電車が動き出す。吊り革を持つ。彼女は少し離れた場所で本を読んでいた。
何の本だろう。気になる。でも、じっと見るのは変だ。
20分後、彼女が降りる駅に着く。渋谷。いつも通り。
彼女がドアに向かう。ショウも同じ駅で降りる。後ろをついていく形になる。
改札を抜ける。彼女は右に曲がる。ショウは左に曲がる。毎日、ここで別れる。
話しかけたい。でも、きっかけがない。電車で話しかけるのは変だ。
今日も、何も言えなかった。
明日も、同じ電車に乗る。明日こそ、と思う。でも、きっと明日も同じだ。
彼女の名前も知らないまま、季節が変わっていく。